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東京知道会会長挨拶

助川 裕 (昭和42年卒)

 平成25年の総会は、平成卒の同窓生が多数参加し且つ茨城産のアイドルの絶叫もあり、盛況のうちに終了しました。総会と集いを準備された担当学年幹事の皆様に、心から感謝致します。
 さて、「会議での挨拶は短いほど良い」と言うのが私の主義なので、当日の会長挨拶では十分に展開できない点もあったので、この文書で多少補充しておくことにします。
 和辻哲郎はその著書『風土』で、地政学的・文化的・民族的概念としての「風土」を確定し、その下位概念である「モンスーン」・「砂漠」・「牧場」を用いて各国の特色を解析しています。ユーラシア大陸の西にヨーロッパがあり、東の果てに日本があるわけですが、ヨーロッパは牧場類型に、日本はモンスーン類型に仕訳しています。和辻はこの発想をHeideggerの『Sein und Zeit』から得たとしていますが、確かに「世界―内―存在」を問題とすれば、その内包と外延をこのような下位概念で確定するのも一方法でしょう。要するに、空間に関するマクロ的手法とでも言うべき論理構成です。
 このように「風土」を空間概念とみるならば、その時間的側面も検討しなければなりません。20世紀の100年をスパンとして、ヨーロッパと日本を比較するとそれなりの意義が見出されます。ヘールト・マック『ヨーロッパの100年』上下(徳間書店)によれば、ヨーロッパはモザイク模様の文化圏に細分化されており、何といっても大きいのは第一次・第二次の世界大戦とされています。特に、後者では6年間にわたり一日3万人の死者が出た(合計6000万人)とされています。この意味でヨーロッパの20世紀前半は戦乱の歴史なのです。しかし、その一方でこの時期に哲学・物理学等の大きな深化・進展がみられており、逆に20世紀後半の文化的不毛性と対比されています(『存在と意味』広松渉 岩波書店)。確かに、現象学が勃興し、アインシュタインの相対性理論の構築もこの時期になされています。
 一方で、社会的・経済的実験とでも表現すべき「改革」が20世紀前半になされています。ソ連の成立であり、最近その内実が多数の資料により解明されています。S・S・モンテフィオリー『スターリン』上下(白水社)では農業の集団化・ネップ政策が以下に過酷な手法でなされたかを活写し、飢餓により最大1000万人が死亡したと推定しています。
 ところで、ユーラシア大陸の東ではこの100年でどのような現象があったのでしょうか。日本は1894年日清戦争、1904年日露戦争、1914年第1次世界大戦と10年毎に戦を繰り返し、その間にヨーロッパ並みの強国として国家形成をなしています。その後1941年には太平洋戦争に突入します。
 20世紀の後半になると、中国で前述の社会・経済的実験がなされ、1957年に大躍進運動(人民公社化・粗鋼の民間レベルでの製造等)が発令され、その結果大規模な飢餓を招き死者は3000万人を超えるものと推定されています。楊継縄 『毛沢東 大躍進秘録』(文芸春秋社)では詳細な資料に基づきその運動と結果を検証しています。更に、1966年には文化大革命と言う共産党の党内闘争が開始され、毛沢東の死亡(1976年)までの間、大動乱を生み出します。
 同様の社会的・経済的実験は小規模ながら1970年代のカンボジアでなされ、150万人が粛清されています(F・ショート 『ポルポト』白水社)。
 このように空間的・時間的にマクロ考察をすると、私共の現存する世界なるものが、如何に脆弱なものであるかが判ります。逆に言うと、しっかりと視座を確保し膨大な情報を整序する必要があるのです。<水戸> ⇒ <日本> ⇒ <アジア> ⇒ <世界> ⇒ <宇宙> と言う空間的な広がりのみならず、時間を超えてもたらされる <書物>による知識の蓄積も大切です。
 かくして、在校生には世界を知り、書を読むことを勧めますし、私共先輩としてもどしどし援助をしてゆくべきでしょう。海外でのホームステイ制度の立ち上げ、図書館の整備等に気配りをしたいものです。

 

以上

 

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平成23年度(助川会長挨拶)>>

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