東京知道会長挨拶
小岩井忠道 (昭和39年卒)

 ことしも東京知道会同窓の集いを迎えることができました。ご来賓の皆さま、ご出席の同窓生の皆さま、とりわけこの一年間、しばしば仕事その他を二の次にして今日の会のため準備を進めてこられた昭和55年卒の担当学年の皆さまに心からお礼を申し上げます。

昨年、母校は創立130周年を迎え、記念式典、祝賀パーティーを盛大に行うことができました。記念式典は、実行委員会の皆さんの適切な運営に加え、参加した母校の在校生たちのしっかりとした行動によって参加者に大きな感銘を与えたと信じております。

近年、イノベーションという言葉が、あちこちで叫ばれています。創造的破壊とも訳されますが、技術や社会システムは飛躍的、不連続的な変革によって大きな進歩がもたらされる、という意味のようです。「自民党をぶち壊す」と国民に訴えて、大きな支持を得た小泉元首相の姿とダブって思い起こされる人もおられるのではないでしょうか。

暮れにあるシンポジウムをのぞいたところ、旧知の元・文部科学官僚が、聞きなれない言葉を発していました。あいさつを終えたばかりのこの官僚氏に「ピンスミールって何のこと」と尋ねたところ、「ピンスミールではなく、ピースミール、細かいことの積み重ね、という意味」という答えが返ってきました。多分、どうも理解できていないな、と心配になったのでしょう。翌朝、メールでさらに詳しい説明が送られて来ました。

カール・ポパーというドイツの哲学者が言ったことだそうです。社会を変革するにはピースミール社会技術、つまり社会の諸条件を人智によってコントロールしうる範囲で徐々に改良していくことが大事。ユートピア的理想の実現を目指して、一挙に大規模な形で社会を変革しようとしても混乱と弊害が生じるだけだ、というわけです。ハハーン、イノベーションからピースミールへ軌道修正を図る動きが出始めたか、と思った次第です。

考えてみるとポパー先生に教えてもらうまでもなく、そんなことは東京知道会が長年にわたって実践して来たことではないでしょうか。今日の集いの会の準備にあたられた55年卒担当学年幹事の皆さまにより、先輩たちが地道に積み重ねて来られた東京知道会の誇るべき歴史に、新たな一ページが付け加わったことを確信するものです。

今日一日、ご来賓の方々を初め、参加されたすべての皆さま、大いに楽しんでください。

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